イギリス人が見た琉球を描くノンフィクション小説。
歴史書であるにもかかわらず、描かれる友情は感動的でさえある。

ペリー来航に遡ること37年前、1816年。中国に使節団を送ることを目的とした海軍船2隻が、空いた時間を利用して、朝鮮半島と琉球を訪れた。艦長バジル・ホールは、沖縄本島を一周したのち泊港に停泊し、琉球人たちとの交流を試みる。うち数人と深い友情をもつに至り、琉球を離れる際には今生の別れに涙さえ流す。
イギリスへの帰路の途中セントヘレナに立ち寄り、幽閉中のナポレオンに謁見し、琉球という武器のない国があると説明した話も収録されている。
出版後、本国でベストセラーとなり、ヨーロッパ各国語に翻訳され、ペリーの来琉時にも参考にされた。
これほど生き生きと琉球人を描いた記録は他になく、掲載されたイラストは貴重な史料ともなっている。
おそらく、当時の琉球人よりもバジル・ホールらイギリス人の方が、現代のわたしたちと感覚が近い。そのため、現代の目から当時の琉球人や那覇の風景をを覗き見るような不思議なリアリティを感じることができる。
文章はわかりやすく、厚くもないのですぐに読み終われるが、琉球の歴史に興味を持つ沖縄県民なら、深い感動が味わえる。
これが面白くないというやつは、死んでしまえ。
岩波書店 (1986/7/16) / 文庫本 / 385ページ